理事長挨拶


この度、当組合の理事長を拝命しました玉川哲也と申します。これまで多くの諸先輩の方々や、商社・機械メーカー様の協力の下築き上げてきた実績と信頼を踏まえ、業界の更なる発展の為に全力を尽くす所存でございます。
振り返れば我が業界は、リーマン・ショックや東日本大震災をはじめとした、多くの経済的な危機に見舞われ、少なからぬ打撃を受けました。しかしその都度、組合員の仲間と共に叡智を結集し、雇用の確保や技術の継承に努めたという 誇りを忘れてはいけません。小さな企業の集合体ですが、日々の技術革新や人材教育等の地道な努力を図ることで、必ずや皆様の企業、更には製造業日本の発展に繋がるものと確信しております。
なお就任中はスピーディーな対応と細やかな配慮を心掛け、業界への貢献につなげる責務を果たして参りたいと思っております。今後ともご支援ご協力の程よろしくお願い申し上げます。


東京工業彫刻協同組合 理事長 玉川哲也

工業彫刻とは…その歴史


ちょっと聞き慣れない「工業彫刻」・・・いわゆる「芸術的な彫刻」とはまったく違うものです。
彫刻とは、読んで字のごとく彫り刻むことです
かつて人類は記録を残すという意味でこの彫刻という手を用いていました。例えば、古いものでは氷河時代の壁画や、文字の出現後あちこちに散在する石碑など。更に中国古代の木簡やエジプトのロゼッタ石などもこの範囲に入るでしょう。しかしこれら記録としての彫刻は絹、パピルス、紙などの出現により次第に廃れ、美術としての彫刻だけが近世までに命脈を保っているといえるでしょう。

近世に入り機械技術の発達により、これが彫刻の世界にも波及して彫刻機械の発明につながります。この機械の出現は彫刻の世界に精巧性、均一性、さらには量産性をもたらしました。

ある時期には芸術であった彫刻が、この時から再び実用性を復活させるようになりました。彫刻機械の性能が高まり、それを駆使する人が熟練するにしたがって、芸術的部分の占める割合はさらに低くなりました。そして数値制御(NC)彫刻機やレーザー彫刻機が出現した現在、もはや美的感覚を要求されるもの以外に芸術的部分は皆無に近くなりました。このため実用としての彫刻を従来の造形美術としての彫刻と区別するために、「工業彫刻」という名称が誕生したのです。

こうして工業彫刻は、その後各分野に応じて技術的に細分化されながら発展してきます。金型、モデル、金属彫刻、製品彫刻、プラスチック、目盛などの各部門となり、それぞれ異なった角度から独自の技術を創造しました。またこれが新しい機械や装置の開発とともにさらに新しい加工方法を生み出し、精密化されながら進歩を続けています。

彫刻機の変遷


彫刻機が初めて作られたのは1825年イギリスのウイリアム・バッハによるもので、それは印刷活字用でした。その後も印刷活字製作用に発達し、イギリス・ドイツ・アメリカで作られ、改良されていきました。また貨幣の製造にも活用されていた様です。

我が国に紹介されたのは大正時代に入ってからで、大正初期のドイツ印材メーカーのカタログに載ったのが最初でした。実際に輸入されたのは大正9年。都内の印版会社の社員が技術修得のためにアメリカに渡り、技術修得とともに米ゴルドン社の彫刻機を購入して帰国しました。この印版会社は同じ年に英テーラー社の彫刻機も輸入しています。

国産が開始されたのは大正10年です。光学用と目盛用のものが作られました。しかし大正11年には現在の汎用平面彫刻機の原形となった独デッケル社の彫刻機が大量輸入されました。というのも、たしかにこのころには国産機も多く作られ、改良されていましたが、当時はまだ精密なものは輸入機に頼らざるをえなかったのです。

昭和20年の終戦により日本の産業はほとんどが潰滅状態となり、彫刻業界もまったく仕事がない状態で彫刻技術者たちは職業替えをして生活の糧を得ているような状況でした。しかし昭和24年の朝鮮戦争特需から、ほかの産業と同様に彫刻業界も活気を取り戻し、昭和27年頃には立体彫刻機や多軸彫刻機も初めて国産化されるなど、彫刻業界は完全に復興しました。主に時計やカメラ、ラジオが大量生産されるようになったことで、それに関わる製品彫刻の需要が爆発的に増大したのです。

昭和の初め頃からは軍需が増大し、昭和12年には日中事変の勃発によって日本経済は封鎖され、ヨーロッパの状況も緊迫してきたことでドイツからの輸入も少なくなり、国内需要は国産機に全面的に頼らざるをえなくなりました。国産メーカーのほとんどが独デッケル社の汎用彫刻機をコピーしていたそうです。当時の需要の中心は計器の目盛、光学機器の目盛などで、終戦まで彫刻業界は目の回るような忙しさでした。ローラーアタッチメントもこの頃、国産化されました。

そして昭和30年代中頃からプラスチック産業が大きく成長すると、多種多様なプラスチックが開発されて安価になり、それまで切削加工が中心だった加工業界も塑性加工、成形加工が増え、金型の需要が増大しました。また彫刻業も金型彫刻が増えました。成形加工は大きく発展し、身近なもののほとんどが成形加工によって作られるようになりました。範囲が広がれば当然精密なものも成形加工されるようになり、年々高い精度が要求されるようになりました。彫刻機も年々改良され、昭和47年には数値制御(NC)彫刻機や自動立体彫刻機も開発されたのです。

機械や技術の進歩が工業彫刻の成長を加速度的に促進し、これに伴い彫刻機の用途も多様化しました。大量生産を目的とするもの、高度な精密さが必要なもの…。また今までは多年の経験や熟練がなければ得られなかった高度な加工が機械の高性能化で合理的に加工できるようになったり、また加工不可能とされていたものさえ加工可能となりつつあります。

彫刻機の種類


平面彫刻機

もっとも多く使われている基本的な汎用彫刻機です。
平面上に文字や模様を彫刻することが多いのですが、
さまざまな冶具を取り付けて立体面や曲面にも彫刻できます。


立体彫刻機

樹脂や石膏で作られたモデルを倣う(ならう)
ことで立体物を加工します。メタル彫刻や模様の彫刻に
使われます。自動ならい装置を取り付けることによって
加工の精密化が図られています。


NC彫刻機(マシニングセンター)

数値制御(NC)による高性能な彫刻機です。
用途により2次元のものと3次元のものがあります。
強力な切削に耐えられるように作られたものは
フライス盤やボール盤と同じ用途に使われています。
現在はマシニングセンターを使用した彫刻が多いです。


卓上彫刻機

PCと連動して作動する簡易型彫刻機、NC彫刻機より
剛性は劣るが2次元および3次元の彫刻が可能。
主にアクリル樹脂やモデリングワックス用が多い


メモリ彫刻機

目盛の彫刻を行うもので、回転しない刃物(バイト)
によって目盛線の切削をします。
直尺用と円周分割用があります。


レーザー彫刻機

レーザー彫刻機とは、レーザー光を使って文字や画像データ
を彫刻する装置。
切削ではなく、レーザー光の熱により溶かしていく原理です。
切削と違ってそれほど熟練を必要としないため、急速に普及
しております。
木や皮革、プラスチックなど幅広い製品に対応する炭酸ガス
レーザータイプと、金属へのマーキングができるYAGレーザー
タイプがあります。

工業彫刻の業務内容


製品彫刻

樹脂製品:ネームプレート、パネル、看板、名札、ストラップ、インテリア小物、ディスプレイ用品


金属製品:喫煙具、文具、トロフィー、銘板、目盛彫刻

金型彫刻

各種金型および電極彫刻:プレス、プラスチック、ダイキャスト、ゴム、ブロー

刻印

刻印、ナンバリング、焼印、ホットスタンプ、印鑑、ゴム印

モデル彫刻

樹脂マスターモデル、試作品、モックアップ

東京工業彫刻協同組合
〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町15-8
高木産業会館418号
TEL 03-5456-3551
FAX 03-5456-3552
月・火・木・金 10:00~17:00
メ-ルでのお問い合わせはこちらへ

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理事長挨拶


この度、当組合の理事長を拝命しました玉川哲也と申します。これまで多くの諸先輩の方々や、商社・機械メーカー様の協力の下築き上げてきた実績と信頼を踏まえ、業界の更なる発展の為に全力を尽くす所存でございます。
振り返れば我が業界は、リーマン・ショックや東日本大震災をはじめとした、多くの経済的な危機に見舞われ、少なからぬ打撃を受けました。しかしその都度、組合員の仲間と共に叡智を結集し、雇用の確保や技術の継承に努めたという 誇りを忘れてはいけません。小さな企業の集合体ですが、日々の技術革新や人材教育等の地道な努力を図ることで、必ずや皆様の企業、更には製造業日本の発展に繋がるものと確信しております。
なお就任中はスピーディーな対応と細やかな配慮を心掛け、業界への貢献につなげる責務を果たして参りたいと思っております。今後ともご支援ご協力の程よろしくお願い申し上げます。

東京工業彫刻協同組合 理事長 玉川哲也

工業彫刻とは…その歴史


ちょっと聞き慣れない「工業彫刻」・・・いわゆる「芸術的な彫刻」とはまったく違うものです。
彫刻とは、読んで字のごとく彫り刻むことです
かつて人類は記録を残すという意味でこの彫刻という手を用いていました。例えば、古いものでは氷河時代の壁画や、文字の出現後あちこちに散在する石碑など。更に中国古代の木簡やエジプトのロゼッタ石などもこの範囲に入るでしょう。しかしこれら記録としての彫刻は絹、パピルス、紙などの出現により次第に廃れ、美術としての彫刻だけが近世までに命脈を保っているといえるでしょう。

近世に入り機械技術の発達により、これが彫刻の世界にも波及して彫刻機械の発明につながります。この機械の出現は彫刻の世界に精巧性、均一性、さらには量産性をもたらしました。

ある時期には芸術であった彫刻が、この時から再び実用性を復活させるようになりました。彫刻機械の性能が高まり、それを駆使する人が熟練するにしたがって、芸術的部分の占める割合はさらに低くなりました。そして数値制御(NC)彫刻機やレーザー彫刻機が出現した現在、もはや美的感覚を要求されるもの以外に芸術的部分は皆無に近くなりました。このため実用としての彫刻を従来の造形美術としての彫刻と区別するために、「工業彫刻」という名称が誕生したのです。

こうして工業彫刻は、その後各分野に応じて技術的に細分化されながら発展してきます。金型、モデル、金属彫刻、製品彫刻、プラスチック、目盛などの各部門となり、それぞれ異なった角度から独自の技術を創造しました。またこれが新しい機械や装置の開発とともにさらに新しい加工方法を生み出し、精密化されながら進歩を続けています。

彫刻機の変遷


彫刻機が初めて作られたのは1825年イギリスのウイリアム・バッハによるもので、それは印刷活字用でした。その後も印刷活字製作用に発達し、イギリス・ドイツ・アメリカで作られ、改良されていきました。また貨幣の製造にも活用されていた様です。

我が国に紹介されたのは大正時代に入ってからで、大正初期のドイツ印材メーカーのカタログに載ったのが最初でした。実際に輸入されたのは大正9年。都内の印版会社の社員が技術修得のためにアメリカに渡り、技術修得とともに米ゴルドン社の彫刻機を購入して帰国しました。この印版会社は同じ年に英テーラー社の彫刻機も輸入しています。

国産が開始されたのは大正10年です。光学用と目盛用のものが作られました。しかし大正11年には現在の汎用平面彫刻機の原形となった独デッケル社の彫刻機が大量輸入されました。というのも、たしかにこのころには国産機も多く作られ、改良されていましたが、当時はまだ精密なものは輸入機に頼らざるをえなかったのです。

昭和20年の終戦により日本の産業はほとんどが潰滅状態となり、彫刻業界もまったく仕事がない状態で彫刻技術者たちは職業替えをして生活の糧を得ているような状況でした。しかし昭和24年の朝鮮戦争特需から、ほかの産業と同様に彫刻業界も活気を取り戻し、昭和27年頃には立体彫刻機や多軸彫刻機も初めて国産化されるなど、彫刻業界は完全に復興しました。主に時計やカメラ、ラジオが大量生産されるようになったことで、それに関わる製品彫刻の需要が爆発的に増大したのです。

昭和の初め頃からは軍需が増大し、昭和12年には日中事変の勃発によって日本経済は封鎖され、ヨーロッパの状況も緊迫してきたことでドイツからの輸入も少なくなり、国内需要は国産機に全面的に頼らざるをえなくなりました。国産メーカーのほとんどが独デッケル社の汎用彫刻機をコピーしていたそうです。当時の需要の中心は計器の目盛、光学機器の目盛などで、終戦まで彫刻業界は目の回るような忙しさでした。ローラーアタッチメントもこの頃、国産化されました。

そして昭和30年代中頃からプラスチック産業が大きく成長すると、多種多様なプラスチックが開発されて安価になり、それまで切削加工が中心だった加工業界も塑性加工、成形加工が増え、金型の需要が増大しました。また彫刻業も金型彫刻が増えました。成形加工は大きく発展し、身近なもののほとんどが成形加工によって作られるようになりました。範囲が広がれば当然精密なものも成形加工されるようになり、年々高い精度が要求されるようになりました。彫刻機も年々改良され、昭和47年には数値制御(NC)彫刻機や自動立体彫刻機も開発されたのです。

機械や技術の進歩が工業彫刻の成長を加速度的に促進し、これに伴い彫刻機の用途も多様化しました。大量生産を目的とするもの、高度な精密さが必要なもの…。また今までは多年の経験や熟練がなければ得られなかった高度な加工が機械の高性能化で合理的に加工できるようになったり、また加工不可能とされていたものさえ加工可能となりつつあります。

彫刻機の種類


平面彫刻機

もっとも多く使われている基本的な汎用彫刻機です。
平面上に文字や模様を彫刻することが多いのですが、
さまざまな冶具を取り付けて立体面や曲面にも彫刻できます。


立体彫刻機

樹脂や石膏で作られたモデルを倣う(ならう)
ことで立体物を加工します。メタル彫刻や模様の彫刻に
使われます。自動ならい装置を取り付けることによって
加工の精密化が図られています。


NC彫刻機(マシニングセンター)

数値制御(NC)による高性能な彫刻機です。
用途により2次元のものと3次元のものがあります。
強力な切削に耐えられるように作られたものは
フライス盤やボール盤と同じ用途に使われています。
現在はマシニングセンターを使用した彫刻が多いです。


卓上彫刻機

PCと連動して作動する簡易型彫刻機、NC彫刻機より
剛性は劣るが2次元および3次元の彫刻が可能。
主にアクリル樹脂やモデリングワックス用が多い


メモリ彫刻機

目盛の彫刻を行うもので、回転しない刃物(バイト)
によって目盛線の切削をします。
直尺用と円周分割用があります。


レーザー彫刻機

レーザー彫刻機とは、レーザー光を使って文字や画像データ
を彫刻する装置。
切削ではなく、レーザー光の熱により溶かしていく原理です。
切削と違ってそれほど熟練を必要としないため、急速に普及
しております。
木や皮革、プラスチックなど幅広い製品に対応する炭酸ガス
レーザータイプと、金属へのマーキングができるYAGレーザー
タイプがあります。

工業彫刻の業務内容


製品彫刻

樹脂製品:ネームプレート、パネル、看板、名札、ストラップ、インテリア小物、ディスプレイ用品


金属製品:喫煙具、文具、トロフィー、銘板、目盛彫刻

金型彫刻

各種金型および電極彫刻:プレス、プラスチック、ダイキャスト、ゴム、ブロー

刻印

刻印、ナンバリング、焼印、ホットスタンプ、印鑑、ゴム印

モデル彫刻

樹脂マスターモデル、試作品、モックアップ